昔は、子どもに少し厳しい言葉をかけることで、「見返してやる」という反発心を引き出せる場面がありました。その悔しさが、前に進む力になることもあったのです。
ですが、長年子どもたちを見ていると、今は同じやり方が通じにくくなったと感じます。厳しく言われたときに反発するのではなく、「やっぱり自分はできないんだ」と受け取ってしまう子が、確実に増えているのです。
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昔は、反発心を利用できる場面があった

昔は、あえて厳しく言うことで、「自分はもっとできる」「見返してやる」という気持ちが生まれる子がいました。もちろん、すべての子がそうだったわけではありませんし、厳しく言えばよいという意味でもありません。
ただ、ある程度の厳しさが反発心につながり、それが努力のきっかけになる。「悔しかったら頑張れ」という言葉が、ある程度は通じる時代だったのだと思います。
今の子は、なぜ自信を失いやすいのか

しかし今は、同じ言葉が同じようには届きません。厳しく言うと、「悔しい、もっと頑張ろう」ではなく、「やっぱり自分には無理なんだ」という確認になってしまうことがあります。
これは、子どもが弱くなったという単純な話ではないと思います。むしろ、子どもが置かれている環境が、昔とはまるで変わっているのです。
今の子どもたちは、スマートフォンやSNS、動画を通じて、勉強ができる人、成功している人、自信に満ちて見える人を、毎日のように目にしています。そこに映るものがその人のすべてではなく、見えないところに努力や失敗があるはずですが、子どもがそれを冷静に判断できるとは限りません。
昔は比較の相手が、身近な友達や学校の中の人でした。今は、比較の対象が全国に、ときに世界中に広がっています。しかも目に入るのは、うまくいっている場面ばかりです。そういう環境で育った子に「悔しかったら頑張れ」と言っても、反発心ではなく、「自分だけができない」という思いを強めてしまうことがあるのです。
欠点を直すだけの指導が、子どもを止めてしまう

勉強では、できないところを見つけることが欠かせません。英語であれば、単語が足りないのか、文法の理解が不十分なのか、英文を組み立てる手順がわかっていないのか。原因を見つけなければ、成績は伸びません。
ただ、できない原因を見つけることと、その子を責めることは、まったく別のことです。「ここもできていない、だからダメだ」という見方をされ続けると、子どもは前に進む気力を失います。特に、すでに自信をなくしている子にとって、欠点の指摘ばかりは、努力のきっかけにはなりにくいのです。
できない原因は、正確に見る。しかし、それを責めるためには使わない。今の時代の指導では、この姿勢がいっそう大切になっていると感じます。
その子の良いところを「正確に」見つける
良いところを見つける、と言うと、ただ優しく褒めることだと思われるかもしれません。ですが、私が大切にしているのは、気休めの励ましではありません。
英語の指導では、どこでつまずいているのかを正確に見ます。単語が足りないのか、文法の理解が止まっているのか、主語と動詞の関係がつかめていないのか。原因を論理的に特定しなければ、成績は伸びないからです。
良いところを見つけることも、これと同じです。感覚で褒めるのではなく、その子の理解の仕方、考える筋道、伸びる可能性を、できるだけ正確に見る。根性で乗り越えさせるのではなく、事実として「ここは強い」と示す。だからこそ、その言葉は子どもに届き、自信を取り戻すきっかけになります。
すべての教科が平均的にできることだけが、その子の価値ではありません。できないところがあっても、一つのことを深く考えられる子、人とは違う視点を持っている子、納得すればしっかり進める子がいます。そういう強みを正確に見つけてもらえると、子どもは少しずつ「自分にもできることがある」「ここなら頑張れるかもしれない」と思えるようになるのです。
実際にあった、二人の生徒のこと
ある生徒は、高校1年生のときに、英文の丸暗記に疑問を抱いて塾に来ました。「ただ暗記するだけのやり方が、どうしても納得できない」と言うのです。私は、その違和感こそがこの子の力だと思いました。指導を重ねるうちに、理解の速さ、頭の回転の良さが、はっきりと表れてきたからです。
ところが志望校を聞くと、本人も親御さんも、かなり低いところを口にしました。自信がなかったのだと思います。「あなたはそんなレベルではない、もっと上を目指せる」と何度伝えても、なかなか信じてもらえませんでした。それでも指導を続けるうちに英文が読めるようになり、少しずつ本当の自信が芽生えてきました。やがて志望校を明治大学に変更し、最終的に合格しました。最初に口にしていた志望校とは、まるで違う場所です。
もう一人は、小学6年生のときに来た生徒です。おどおどとして、自信がなさそうでした。私は実力の土台になる基本文法を、時間をかけてゆっくり固めていました。ですが、その進め方がすぐに目に見える成果として伝わりにくかったのか、その子は一度、大手の塾へ移っていきました。
戻ってきたのは、中学2年生のときです。間に何があったのかは聞いていません。ただ、戻ってきてからの私は、その子をとにかく褒めました。お世辞ではありません。実際に、褒めるところがたくさんあったのです。やめる前に一緒に積み上げた基本文法が、しっかりと花を開いていました。
学校のテストで、たまに点を落とすこともあります。ですがこの年代では、ケアレスミスはつきものです。私は100点を取らせることを目的にしていません。だから親御さんにも、「この子は、本当はとてもよくできる子です」と、はっきりお伝えしています。実際、特別な対策をせずに英検3級にも余裕で合格しました。自信を持てたことで、ぐんぐん伸びていったのです。

二人に共通しているのは、最初から能力が足りなかったわけではない、ということです。足りなかったのは、自分の力を信じるための材料でした。
坪井英語塾が大切にしていること
坪井英語塾では、英語ができないことを責める指導はしません。だからといって、できないところをあいまいにするわけでもありません。単語が足りないのか、文法の理解が不十分なのか、英文を読む前に英文の形をつかめていないのか。そういう点は、きちんと確認します。
しかしそれは、生徒を責めるためではありません。どこで止まっているのかを論理的に見つけ、どうすれば前に進めるのかを一緒に考えるためです。
英語が苦手な生徒の中には、頑張ったつもりなのに結果が出なかった子、何を勉強すればよいか分からないまま、ただ丸暗記してきた子がいます。そういう子に必要なのは、さらに強く責められることではありません。なぜできないのかを一緒に整理し、できるようになる手順を示すこと。そして、その子の中にある強みを、正確に見つけることです。
英語が苦手でも、考える力がないとは限りません。点数が低くても、理解する力がないとは限りません。子どもを追い込むのではなく、子どもがもう一度、自分の力を信じられるようにする。それが、今の時代に必要な指導だと考えています。
坪井英語塾では、英語が苦手な中学生・高校生のために、基礎から英文法を立て直す指導を行っています。
単語を覚えても点数につながらない。文法問題は少し解けるけれど、英文になると読めない。英語をどう勉強すればよいのか分からない。そのような場合は、英語のどこで止まっているのかを一緒に確認し、必要なところから一つずつ立て直していきます。